
はじめに
7月から8月といえば全国で花火大会が一斉に催される時期です。
この記事を執筆した2025/08/06の前日には、私が住む仙台では毎年恒例の仙台七夕花火祭が催されました。
その仙台七夕花火祭を観て思うことをまとめたのが今回の記事です。
その中でも近年の花火大会では増えつつある「観客が課金して観覧する有料席」と「打ち上げ花火にあわせて音楽が流れる演出」について取り上げます。
仙台七夕花火祭の有料エリアと無料エリア
近年は花火大会の協賛企業が集まりにくくなって花火代の捻出が難しくなったのか、観客から料金を募る有料席を設ける花火大会が増えてきました。
傾向としては市や区が主催して長年の伝統があって取りやめができない花火大会は有料席を多数設ける方向へ、町内会などの小規模で開催していた花火大会は取りやめへ、という二極化が進みつつあるように思えます。
仙台で8月5日に毎年開催されている仙台七夕花火祭は、仙台七夕まつりの開幕を告げる前夜祭という位置付けのため取りやめるわけにもいかず、有料席を多数設ける方向に舵を切っています。
花火の打ち上げ場所である東北大学川内キャンパスの近くに有料エリアと無料エリアを設けて花火大会を開催する形です。
さて有料エリアと無料エリアがあると聞くと「有料エリアの方が花火が綺麗に見えて快適なんだろうなあ」とイメージするわけです。
身銭を切って観るのですから、無料で観るよりも優位性がないとおかしいと考えるのは自然なことですよね。
そんなわけで仙台七夕花火祭を、開催年ごとに観覧スポットを変えながら観てみました。
2016年 西公園から(無料エリア)
2016年は仙台七夕花火祭当日に屋台が多数並ぶ西公園から花火を観ました。
公園の敷地内から立ち見で、無料エリアです。
花火が上がったのは公園の樹木の向こう側で、視覚的には残念な花火になってしまいました。
2019年 仲の瀬グラウンドから(有料エリア)
2019年は初めて席料を支払い、有料エリアから仙台七夕花火祭を観ました。
この年は仲の瀬グラウンドに設けられたパイプ椅子で、あらかじめ指定された番号の席に着席するスタイルです。
花火が樹木に隠れることなく、音と光を存分に楽しめました。
2022年 青葉山交流広場から(有料エリア)
コロナ禍が一段落して3年ぶりの開催となった2022年は有料エリアの青葉山交流広場に設けられたパイプ椅子から仙台七夕花火祭を観ました。
樹木と花火が若干重なることはありましたが、概ね楽しめました。
2023年 東北大学グラウンドから(有料エリア)
2023年は有料エリアの東北大学グラウンドに設けられたパイプ椅子から仙台七夕花火祭を観ました。
残念ながらこの年の席は失敗でした。
花火が樹木に半分程度重なって楽しめません。
席料4,000円支払って観ましたが、その価値に見合ったものとは言い難い環境でした。
席の位置が後方にあるほど樹木の影響を受けにくい位置関係だったようで、私より前方に座っていた観客は花火が上がっている最中に退席していました。
2024年 仙台城跡から
2023年の仙台七夕花火祭の開催後、仙台城跡から撮影された花火の映像をSNSで見かけて良さそうだったので2024年は仙台城跡から仙台七夕花火祭を観ました。
仙台城跡は仙台七夕花火祭の公式では観覧場所(有料エリアおよび無料エリア)として定義されておらず屋台なども出ていませんが、花火の音と光を楽しむことに限ればここから観るのが最適解だと思います。
仙台城跡は高台にあって仙台の街を一望できることから樹木の影響を受けず、打ち上げ花火が目線に近い高さで楽しめます。
この年に「席料を払って東北大学グラウンドから観るよりはるかに満足度が高い」と思いました。
2025年 青葉山公園から(無料エリア)
2025年は無料エリアの青葉山公園から仙台七夕花火祭を観ました。
2023年の失敗から有料エリアはもうこりごりだと思ったことと、花火打ち上げ時刻に仙台城跡まで登る時間が確保できなかったことと、「これまで未体験の青葉山公園からの花火はどう見えるだろう」という好奇心からこの場所を選びました。
低い位置で噴き上げる花火が樹木に若干隠れた程度で、音と光を存分に楽しめました。
有料席の方が無料席より楽しめるとは限らない?
さて上記の通り、有料席でも花火が樹木に隠れて不満だったり、1円も払わなくても満足できる場所だったり、ということがあるわけです。
また有料席の場合はパイプ椅子にお行儀よく座っていなければならず、席の周りのスペースを使うことはほとんどできません。
有料席に座って三脚を設置してカメラを固定して撮影していた年に、係員から三脚を使うのを禁止されてカメラを手に持って撮影したこともありました。
一方で無料エリアや仙台城跡であれば、空いていればレジャーシートを広げて好みの面積で場所を使えます。
パイプ椅子のようにお行儀よく座る必要も無く、充分な広さがあればごろ寝しながら花火を観覧できます。
そんなわけで「有料エリアの方が花火が綺麗に見えて快適なんだろうなあ」という幻想は、私の中では崩壊したのです。
打ち上げ花火にあわせて音楽を流すのはありかなしか?
2025年の仙台七夕花火祭では無料エリアの青葉山公園に巨大なスピーカーが設置され、動画の撮影場所のすぐ近くのスピーカーから大音量でJポップの音楽が流れていました。
そして最近は全国の花火大会で、打ち上げ花火にあわせて音楽を流す演出が増えている気がします。
たぶん花火職人が集う競技大会やオリンピック開会式などの演出から始まって、日本全国に広まったのだと思います。
当初は花火のBGMとして楽曲を流すだけだったのが、近年は楽曲のサビにあわせてスターマインを打ち上げるような、綿密なプログラムが組まれた花火も増えてきました。
打ち上げる花火が空中で破裂するタイミングを完璧に制御できれば、楽曲の拍子やドラムパートにあわせて花火が開花する音ハメも実現可能だろうと思います。
でも私は花火にあわせて音楽を流すのには反対派です。
作曲して配信して収益を得ている立場の私が言うのもなんですが、「花火にあわせて音楽を流す演出ってどう思う?」と聞かれたら私は「やめてほしい」と即答します。
花火の音を楽しめない
まず打ち上げ花火の観客目線で、打ち上げ花火の醍醐味って光だけじゃなく強烈な破裂音だと思うのです。
地面や周囲の建物に反響して腹に響くような破裂音ですね。
子どもの頃に初めて地元の祭りで打ち上げ花火を観た時の、光だけじゃなく腹筋がしびれるような破裂音、「こんな強烈な音が出るものを人間がつくっていいのか」と畏怖すら覚えた感覚、これが音楽が流れているとかき消されてしまうのです。
花火大会の会場で流れる音は花火の音だけでいい、というのが私の考えです。
楽曲の著作権の申し立てで動画が公開できない
続いて動画投稿者目線で思うところです。
今回の記事をここまで読んで、「なぜ2025年の動画だけYouTubeじゃなくてニコニコ動画を埋め込んでいるのだろう?」と疑問に思った方がいると思います。
実はYouTubeにもニコニコ動画と同じ動画ファイルの公開を試みたのですが、YouTube側で「公開不可」とブロックされました。

YouTube Studioでブロックされた動画の著作権について確認したところ、2025年の仙台七夕花火祭で花火とあわせて流れた音楽で、著作権の申し立てが複数あったことから公開不可となりました。
実はこのような措置は今回だけでなく、過去に別の自治体の花火大会の動画でも同じことがありました。
YouTubeは動画のアップロード時に音声を解析して「動画で流れる楽曲について著作権の申し立てがあるので公開できない」と速やかに処理するのです。
ニコニコ動画がそうなっていないのは、それはそれでいいのか?と言いたいところではありますが、しばらくしたらニコニコ動画の運営が目視でチェックしてなんらかの措置をするのかもしれません。
ともかく世界最大の動画共有サービスであるYouTubeで動画を配信できないのは動画投稿者としては影響が大きいのです。
そしてそんな事情をおそらく花火大会の主催者も知っていて、敢えて花火大会で楽曲を流しているようにも思えます。
花火大会の主催者は世界中に知られたくない?
破裂音で大音量が楽しめる花火大会で、なぜ楽曲を流すようになったのかを考えてみます。
花火の視覚的効果と楽曲が組み合わさることで観客に深い感動を提供できる、というのは一見すると筋が通ってそうですが、私は建前だろうと思っています。
テレビドラマやテレビCMとのタイアップで楽曲を売っていた芸能事務所が、国民のテレビ離れが進んで視聴率が落ちて楽曲の売上が伸びなくなったことから、花火大会の主催者に「花火にあわせて音楽を流したら観客にウケますよ」と吹き込んでいるのでは、と予想します。
芸能事務所にとっては多くの観客が集まる花火大会で、売り込みたい楽曲を流す機会が得られておいしいわけです。
また花火大会の主催者が自治体のような非営利団体で、営利を目的としない祭りで市販の録音の楽曲を流す分には、JASRACへの著作権の手続きが発生しません。
有料エリアを設けている花火大会で楽曲を流すのは結構グレーな気もしますが、全席有料だと営利目的のイベントとみなされて楽曲使用料が発生して、観客が無料で出入りできる無料エリアがあるなら営利目的とはみなされず楽曲使用料が発生しない、とかそんなカラクリなのかなと。
花火大会で無料エリアを残しているのは楽曲使用料の負担を回避するためであって観客のためではないとかだったりする?と思っちゃいますが、そのあたりに詳しい方がいればぜひコメントをお寄せください。
まあともかく、昨今の花火大会の主催者が抱える苦しい懐事情として、
・昔のように協賛企業がつかず、花火を大量に打ち上げられるほど花火代を賄えない。
・とはいえ打ち上げ花火の企画を取りやめたり、花火打ち上げ時間を短縮したりするのは、来場者が祭り会場の屋台や近隣の商店にお金を落とす機会が減るので許されない。
・そこで花火にかけるコストを抑えつつ、来場者を釘付けにする仕掛けが欲しい。
という思惑かなと思うのです。
そんな思惑に「花火にあわせて音楽を流したら観客にウケますよ」はうまいことはまるのです。
前述の2025年の仙台七夕花火祭の動画でも、楽曲の終わりまで尺を稼いでいて、花火は楽曲の間に数発上げているだけ、という時間帯が頻繁にあります。
観客に飽きられない程度に花火代を節約して楽曲でカバーする、とかそんな遣り繰りをしているのかなと思うのです。
そして花火大会の主催者目線では、そんな遣り繰りをインターネットを通じて世界中に知られたくないだろうなと。
そんな思惑に「花火にあわせて音楽を流したらYouTube側で動画を公開ブロックしてくれますよ」はうまいことはまるのです。
まあさすがにそれは「陰謀論では?」「動画を公開ブロックされたからってひねくれすぎでは?」と指摘を受けそうなのですが、まあそんなことを思わずにはいられないので、私は花火にあわせて音楽を流すのには反対派です。
最後に
これから全国の至るところで花火大会が行われると思いますが、単に花火の音と光を楽しむだけでなくて、その演出と主催者側の思惑を想像しながら花火を観ると、また別の楽しみが得られるかもしれません。
「この花火大会、維持するの厳しそうだな」とか観客目線でもなんとなく見えてきたりするので。
そして2025年の仙台七夕花火祭の動画はYouTubeで公開不可となりましたが、50秒間の花火の映像を音声をミュートして私の楽曲をBGMにしたものをショート動画にしたので、この記事で紹介します。
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