※今回の記事は自転車ロードレースを日常的に観ていてシクロワイアードやProCyclingStatsでレース結果をくまなくチェックしている方向けです。
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2025年のラ・フレーシュ・ワロンヌの感想です。
先に結論を言うと、パリ~ルーベを2位で終えた選手がその10日後にラ・フレーシュ・ワロンヌを勝つって意味がわからないです。
両方のレースに出ること自体珍しいのに両方とも表彰台って理解が追いつきません。
レースごとに特徴のある自転車ロードレースの中でも際立って特殊だと思うレースが2つありまして、1つはゴツゴツの石畳という悪路をトラブル無く高速走行するためのパワーとテクニックと運が問われるパリ~ルーベ、もう1つは勾配20%を超える激坂「ユイの壁」を爆速で登りきれる登坂力と爆発力が問われるラ・フレーシュ・ワロンヌです。
毎年4月下旬の水曜日に開催されるラ・フレーシュ・ワロンヌはゴール前に待ち構える「ユイの壁」を3回登るコースが毎年設定されます。
この「ユイの壁」が他のレースでは見かけないような「距離は短いけど勾配が厳しい坂」で、世界の一流のロードレース選手ですら身体をくねらせて苦悶の表情を浮かべながらよじ登るような激坂です。
このレースがなぜ特殊なのかというと、他のレースでよく見かける一般的な戦略である「レース序盤から逃げて先頭集団で逃げ切りを狙う」とか「勝負どころより前でアタックして逃げ切りを狙う」とかが全く意味がありません。
ゴール前に待ち構える「ユイの壁」までに何をやろうとも「ユイの壁」到着前か登坂途中でつかまるのがお決まりのパターンです。
自転車ロードレースは概ね150km~300km弱の距離で行われ、ゴールまで残り5km~20kmで先頭に出て逃げ切りを狙うのがよくある勝ちパターンで、その勝ちパターンに持っていくために各チーム各選手が駆け引きをするのですが、ラ・フレーシュ・ワロンヌに限っては残り500mまで仕掛けずに脚を温存するのが勝つための重要な要素です。
直近10年間ほどラ・フレーシュ・ワロンヌを観てきましたが、勝つ選手はきまって以下のような走り方をします。
・残り500m時点で集団の前方に陣取る。
・残り500m~150mまでは激坂に耐えながらもスパートはせず集団前方をキープする。
・残り150m~100mで一気にスパートして他の選手を置き去りにしてゴールラインまで踏み切る。
実際には残り150mからのスパートでもゴールラインまで維持するのは難しいくらい激坂で、残り100mからスパートする方が勝率が高いと思います。
2025年のラ・フレーシュ・ワロンヌは205.1kmのコースで行われましたが、極端に言えば残り500mまでは何をしても全く意味が無いです。
むしろ残り500mまでに何かした選手は最後に脚が残ってなくて勝てません。
それくらいゴール前の「ユイの壁」が強烈すぎて、コース内の他の箇所が霞んでしまうのがラ・フレーシュ・ワロンヌで、勝った選手でさえゴール後に立ち上がれなくなるほど出し切ってしまうのがラ・フレーシュ・ワロンヌです。
さて上記を踏まえて、2025年のラ・フレーシュ・ワロンヌのレースハイライトです。
🏹 A rainbow jersey twirling on the Mur de Huy...
— La Flèche Wallonne (@flechewallonne) 2025年4月23日
🎬 Here's a summary of the 89th #FlecheWallonne pic.twitter.com/iO1vEEnGyM
なにやら世界王者がおかしなことをやってますね?
定石通りだったら仕掛けるには早すぎる残り500mを切ったあたりで、世界の一流のロードレース選手ですら身体をくねらせて苦悶の表情を浮かべながらダンシングしてよじ登る箇所で、シッティングのまま平坦を走ってるかのような感じで一人だけぶっ飛んでいきました。
コースが激坂であることに目をつぶって世界王者のポガチャル選手の走りだけ観てるとパリ~ルーベの石畳を走ってるのと見た目が変わりません。
そしてそのまま失速することも無く、苦悶の表情を浮かべることも無く、涼しい顔で圧勝してしまいました。
直近10年間ほどラ・フレーシュ・ワロンヌを観てきましたが、こんな勝ち方ができるレースでしたっけ?という感想です。
ラ・フレーシュ・ワロンヌを最多の5回勝っているバルベルデ選手も笑顔で両手を広げながらゴールするのがお決まりでしたが、ここまでの圧勝劇はしてなかった気がします。
そもそもパリ~ルーベとラ・フレーシュ・ワロンヌの両方に出場してる時点で、すでに何かがおかしいのです。
ほぼ平坦で石畳を力強く踏み越えるパワーとテクニックと運が求められるパリ~ルーベと、いくつもの坂を越えた最後に常識外れの激坂が待っているラ・フレーシュ・ワロンヌ。
前者は重量級の選手が有利で、後者は軽量級の選手が有利。
出場選手に求められる体格や脚質が両極端なので、普通はどのチームもパリ~ルーベとラ・フレーシュ・ワロンヌで出場選手を入れ替えるのです。
もし両方出場するとしても、パリ~ルーベではエースを務めてもラ・フレーシュ・ワロンヌでは平坦箇所の牽引役に回る、という感じでアシストに徹するならまだわかります。
両方出場するだけでも極めて珍しいのに、両方とも表彰台に上がるってもはや意味がわかりません。
石畳か激坂かというコース形態だけでなく、その日に全力を出し切るワンデーレースと3週間走り続けるグランツール総合の両方で勝つ世界王者。
レース結果だけ見ると世界王者が勝ったというだけなのですが、この世界王者にはコースの特性とかは関係無いのかもしれません。
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